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グアムの歴史が一堂に集まる
アデラップ岬

いよいよ3月。グアムで3月といえばチャモロマンス(CHamoru Month)です。
 

グアムの歴史の中で最も大きな転換期となったのが、ポルトガルの冒険家フェルナンド・マゼラン(Ferdinand Magellan)一行によるグアム上陸。その上陸した日が1521年3月6日ということで、グアムでは3月をチャモロマンス(CHamoru Month)と制定しています。

マゼランたちのグアム上陸を機にグアムの名は世界に知れ渡り、西洋化が進みます。そして、いくつかの戦争を経て、現在はアメリカ準州として近代的な暮らしをおくるようになりましたが、この数十年は元来のグアムの文化を見つめ直し、復活させようという動きが広まっています。
 

チャモロマンスではグアム各所でチャモロ文化に関するイベントなどが開催されますが、今年もコロナの影響か、イベントは縮小気味。そこで今回はグアムの歴史を一度に振り返ることができる場所を案内します。
 

場所はグアム島中西部にあるアデラップ岬。ここにグアム政府オフィスがあることから、「アデラップ」というと政府オフィスや時の準州知事を指す代名詞として使われることもあります。ここに残された歴史の足跡や記念碑を古代、スペイン統治時代、太平洋戦争をはじめとする戦争時、近代グアムと時代を追って見ていきましょう。

古代チャモロ時代

古代チャモロの遺跡といえばラッテストーン(Latte Stone)。アデラップ岬では6基のラッテストーンのレプリカを見ることができます。
 

ラッテストーンは地面から垂直に立つ支柱「ハリギ(Haligi)」と、その上に乗るお椀型の石「タサ(Tasa)」から成っていて、高床式住居の土台という説が有力ですが、未だ謎の多い遺跡。そして未だジャングルの奥深くで新たに発見される、考古学のロマンをかき立てる存在です。
 

マリンコードライブを車で走っていても見ることができるこの巨大なラッテストーンは、2010年に完成した「ラッテ・オブ・フリーダム(Latte of Freedom)」という展望台。高さは地上約15メートルあります。
これはアメリカの東の玄関口であるニューヨークには「自由の女神」があるため、アメリカの西の玄関口であるグアムにも何かシンボルになるものをと考案されたプロジェクトで、スタートしたのはなんと1976年。紆余曲折を経て、34年後に完成するという、なんとも壮大で気長なプロジェクト。
 

残念ながら現在、展望塔は閉鎖されているようですが、観光業が再開し、展望塔も再開した時には素晴らしい景色を楽しんでください。

スペイン統治時代

ラッテストーンのレプリカの横にはスペインの大砲が2つ並んでいます。
 

スペイン統治時代、ここにはハンセン病患者の隔離施設やプロテスタントのミッションスクールがあったと言われているので、おそらくこの大砲は別の場所にあったものを運んできたと思われますが、海に向かって静かに佇む姿に歴史を感じます。
 

美しいアーチ型の門もスペイン建築に影響を受けたもの。ハガニア地区のスペイン広場にも「アルマセンの三連アーチ」と呼ばれるアーチ型の門を見ることができます。グアム政府オフィスの建物のあちらこちらでこの形が取り入れられています。

戦争時代

マゼラン上陸以降、グアムはスペイン、アメリカ海軍、旧日本軍、そして再びアメリカの統治下になり、その度に戦火に包まれ、多くの人々が命を落としてきました。上のスペインの大砲も、米西戦争(Spanish–American War)に使われたものでしょうか。
 

太平洋戦争時のチャモロ人男性とアメリカ兵の像。この時の彼らの敵は旧日本軍。1944年、アメリカ海軍がアサンビーチに上陸し、グアムを旧日本軍から奪還。今日、その日は「リバレーションデー(Guam Liberation Day)」という祝日となっています。
 

こちらは子供を抱きかかえ逃げ惑う親子の像。側面には強制労働をする人々のレリーフがあります。いつの時代のものかは書かれていませんが、グアムはいつも外国による戦争に巻き込まれ、翻弄されてきました。マゼラン一行のグアム上陸以降、グアムにとって戦争は切り離せない歴史のひとつです。

戦後近代

戦争が終わり、再びアメリカ統治下となったグアムは1950年にアメリカの自治属領(準州)となり、近代化、繁栄の道を進みます。先の展望台「ラッテ・オブ・フリーダム」の建設も、グアムが大きく成長した証といってもいいかもしれません。
 

こちらは2018年に建てられた「ローン・セーラー(Lone Sailor)」というアメリカ海軍兵の像と、グアムの紋章を象ったモニュメント。グアムの繁栄と平和な世の中への実現に向けて尽力するアメリカ海軍を讃えるものです。
 

最後はこちら。グアム政府オフィス敷地の入り口に立つリカルド J. ボダリオ(Ricardo J. Bordallo)氏の像。ボダリオ氏は1975年から1978年と、1983年から1986年の計6年間を準州知事として務め、「ラッテ・オブ・フリーダム」の発案者でもあります。彼の功績を讃え、グアム政府オフィスのこの場所は、正式には「リカルド・J・ボダリオ・ガバナーズ・コンプレックス(Ricardo J. Bordallo Governor’s Complex)」と呼ばれています。
 

「リカルド・J・ボダリオ・ガバナーズ・コンプレックス」は、現在はコロナ禍によりイベントは開催されていませんが、以前はさまざまなイベントが開催され、週末には芝生の広場で寛ぐ多くの人々の姿が見られました。
 

ここで紹介した他にも多くの記念碑があり、グアムの長い歴史を見ることができます。政府施設ではありますが、一般に開放されているので観光客でもこれらを見ることができます。

Information

リカルド・J・ボダリオ・ガバナーズ・コンプレックス
(Ricardo J. Bordallo Governor’s Complex)
開館時間:月〜金曜日 8:00AM〜5:00PM
 

2022/03/01 グアム Island Time

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