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古代チャモロ文化を感じる
リティディアンケーブツアー

今年5月の巨大台風マーワー(Typhoon Marwar)により甚大な被害を受けたリティディアン(Ritidian)。リティディアンは島最北端に位置するエリアで、中でも数千年前の古代には多くの人々が暮らしを営み、現在もさまざまな遺跡が発掘される場所は「グアム野生動物保護区リティディアンユニット(The Guam National Wildlife Refuge, Ritidian Unit)」と呼ばれ、アメリカ連邦政府機関であるU.S. フィッシュ&ワイルドライフサービス(U.S. Fish and Wildlife Service)により管理されています。
 

約7か月の閉鎖を経てようやく開放された「グアム野生動物保護区リティディアンユニット」。初日にはこの地区のオープン30年を記念したイベントも開催され、多くの人が訪れました。
 

30周年記念イベントは古代遺跡が残る洞窟ツアー。ツアーが始まる前にはグアム議会議員も出席し、セレモニーが催されました。
 

さて、いよいよツアーの始まり。晴天に恵まれたこの日、青空と緑が生い茂るジャングルとのコントラストがとても美しく感じられます。
 

まずはグアムに生息する動植物について。アラスカからシベリア、日本を経由し、太平洋を南下する際グアムに立ち寄り、そしてニュージーランドまで旅する渡り鳥の話などはとても興味深く、グアムのジャングルを、街を彩るトロピカルフラワーもとてもきれい。
 

そのようなグアムの生態系を乱す外来種、その代表格のブラウンツリースネークに触れてみることもできました。グアムに生息する鳥たちの天敵ではありますが、触ってみると柔らかくすべすべしていてなんだか気持ちいい。
 

次はお待ちかねの洞窟へ。古代、チャモロの人々は自然を崇拝し自然と共存し暮らしてきました。そのため今でもチャモロの人たちにとってジャングルはとても神聖な場所。特に古代遺跡が残る場所は祖先が生活していたとして崇められています。ジャングルに入る前には必ずチャモロ語で祈りを捧げ、祖先の霊にジャングルに入る許可を得る儀式が行われます。
 

このジャングル、今ではビーチから少し離れて濃い緑に覆われていますが、紀元前1500〜1000年頃は海沿いだった場所。古代の集落は海沿いに点在していたと考えられており、このジャングルにも古代の暮らしの跡があちらこちらに。
 

ガイドが手にしているのは焼物の器の欠片。地面をよく見ると至る所に落ちていることにびっくり。見つけても持ち帰るのは禁じられており、落ちていた場所に返すようにします。
 

その他、石灰岩で出来たルソン(Lusong)と呼ばれるすり鉢のようなものも。これは食材をすり潰したり混ぜたりするのも使われていたとされ、大きさも深さもさまざま。
 

ジャングルの中を静かに歩き、そしてこれらを見て触れてみると古代の人々の暮らしが見えてくるような気がします。
 

今回のツアーではエイシェント ピクトグラフ(Ancient Pictograph)と呼ばれる古代の絵文字や象形文字が残る2つの洞窟を訪れます。ここは1つ目の洞窟の入り口。入り口は狭いですが、中は天井が高く、空気はひんやり。
 

仕事柄、さまざまなチャモロ文化を体験してきた筆者ですが、実は本物のエイシェント ピクトグラフを見るのはこれが初めて。数千年前にこの場所に立っていた人が残したものかと思うと鳥肌が立つほど感動です。
 

2つ目の洞窟の方がたくさんのエイシェント ピクトグラフがあるということで、さらにジャングルの奥へ。ここはバンヤンツリーの長い根に囲まれた2つ目の洞窟の入り口。
 

近くには先ほど説明したルソンがいっぱい。確かに大きさ、深さがさまざま。
 

さて、それでは2つ目の洞窟の中へ。皆さんもチャモロのエイシェント ピクトグラフ、ご覧ください。
 

数千年前の人の手形。こんなにはっきり残っているなんて驚き。手のサイズは大人の女性ほどでしょうか。
 

こちらにはいくつもの亀のような形をしたものを見ることができます。
 

さて、これは何でしょうか。ラッテストーンのようにも見えるし、妊娠中の女性の姿のようにも。
 

これらが何を意味し、どういう目的で残されたのかは解明できておらず、先ほど亀と紹介したピクトグラフももしかすると全く違うものかもしれません。
私たちはただ想像するしかないのですが、その日巨大な亀に出くわし思わず描いてしまったのか、新しい生命の誕生を喜びその姿を残したのか。今自分が立つこの場所で暮らした古代の人々に思いを馳せながら、勝手な想像がどんどん広がります。
 

2つ目の洞窟にはこれらの他にもたくさんのピクトグラフが残されていますが、上のピクトグラフを見て何か気づきませんか。
そうです、色。3つのピクトグラフは赤、白、黒と色が異なっています。赤は赤土、白は珊瑚、黒は灰が主な原料になっているそうで、色の使い分けも何か意味があるのかないのか、解っていません。
 

未だ多くの謎が残る古代チャモロ文化。解明されて欲しいような、まだまだ謎のままで私たちにワクワクする想像をさせて欲しいような。
 

洞窟ツアーの他、ココナッツや竹、木の葉など自然素材を使ったクリスマスデコレーション作りも体験できました。こちらは小さな子供たちがはりきって素敵な作品に仕上げていました。
 

「グアム野生動物保護区リティディアンユニット」にはリティディアンビーチというグアムで最も美しいビーチと呼ばれるビーチがありますが、海だけでなく美しい南国の花々や逞しい熱帯植物に覆われたジャングルがあり、至る所に残された古代遺跡が眠る場所。ビジターセンターではそれらの展示もありますので、出かけた際にはぜひ立ち寄ってみてください。
 

※リティディアンビーチは潮流が速く、事故が多発しているビーチでもありますのでご注意ください。
 
 

2024/01/06 グアム Island Time

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