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守ろう!グアムの自然

古来より豊かな自然を育んできたグアム。 400種類もの珊瑚が広がる海中世界では約1,000種類の海洋生物がそこを住処として暮らしを営み、陸では美しい南洋の花々やヤシの木が南国の風景を彩っています。
 
しかし現在、世界規模で温暖化、環境汚染、魚介類の乱獲、外来種の侵入などにより本来あるべき自然の姿が失われようとしており、グアムでも同じ問題に直面しています。
 
特に南国を象徴する珊瑚やヤシの木の異変は、グアムの自然環境問題の中で最重要課題に挙げられています。

珊瑚を守る


珊瑚はイソギンチャクと同じ仲間に分類され、ポリプと呼ばれる個体が分裂などを繰り返し、群体を作っていきます。
 
これらの珊瑚はポリプで褐虫藻という藻類と共生し、褐虫藻が光合成により作り出す有機物を得て成長します。そして褐虫藻の色こそがポリプを通してピンクやパープルなどの美しい色を見せているのです。
 
多くの海洋生物に産卵場所と住処を提供し、海水中の酸素や二酸化炭素のバランスをとる珊瑚。美しい珊瑚のある海は豊かな生態系を維持するのに不可欠なものと言われています。
 
 

現在、世界的な課題となっているのは珊瑚の白化現象。紫外線量や海水の塩分濃度の変化、近年では地球温暖化が大きな要因のひとつとなり、珊瑚に栄養を与えていたポリプが消え、珊瑚本来の白色になってしまうことです。
 
グアムでも過去5年で4回、白化現象が起こり、多くの珊瑚が死滅しました。
 
グアムでは、専門家たちによる研究や調査の他、海の生態系について学ぶ様々なトレーニングプログラムを開催し、すでに1,300名を超える現役高校生を含む地域住民がリーフ生息地を監視してデータを集めるための方法や珊瑚の修復について学ぶなど、毎月テーマを替え、さまざまな角度から珊瑚を守る活動を展開しています。
 
また、ビーチにゴミを捨てない、シュノーケリングやスキューバーダイビング時に珊瑚に触ったり傷つけたりしないなど、私たち一人ひとりが責任ある行動をとることも珊瑚を守る際、不可欠なのです。

ヤシの木を守る


珊瑚と同様、グアム農務省(Department of Agriculture)やグアム大学専門チームが取り組んでいるのは外来種であるライノビートルからヤシの木を守る対策です。
 
ライノビートルは2007年にグアムで初めて発見され、以来ヤシの幹に住み着き樹液を餌に成長し、木を枯らしてきました。ライノビートルは1回の産卵で100もの卵を産み、孵化するとわずか9か月で成虫になります。
 
グアム島にはライノビートルを餌とする動物が多く、自然界に一定数を確保しようと繁殖が頻繁に繰り返されていること、ライノビートルは台風や森林伐採後に積み重ねられた木々を好んで産卵場所にしていることなどが、急速に数を増やしている原因と言われています。
 
写真はライノビートルの成長サイクル。
 
 

一般に立ち入りが禁止されているアメリカ軍基地内やジャングルの奥深くまで入り込んだライノビートルの撲滅はもはやほぼ不可能に近く、新しい駆除剤の開発を待っている時間もないのが現状です。
 
グアム農務省では被害の大きいエリアの駆除活動の他、住民たちにも関心を持ってもらおうと学校などに出向きレクチャーなどを行っています。
 
駆除活動は枯れた木を1本1本切り倒し、幹に住み着く卵、幼虫、成虫を捕獲、そして切り倒した木を餌に成虫をおびき寄せて新たに捕獲するという地道な活動が繰り返されています。
 
 
ツーリストにとってシュノーケリング、スキューバーダイビング、ハイキングなど自然を舞台にしたアクティビティが魅力のグアム。
 
グアムの美しい自然を取り戻すためには島の人々だけでなく、ツーリストを含めグアムを訪れるすべての人が高い意識を持ち続けることが必要です。一人でも多くの人の理解と協力により、1日も早く本来の美しい島の姿を取り戻せるよう願うばかりです。
 
 

2018/09/17 グアム Island Time

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