アプガン砦からみるグアムの歴史
グアムの首都ハガニア(Hagåtña)。ここには数多くの歴史的な名所や旧跡が残されています。
スペイン広場(Plaza de Espana)などスペイン統治時代のものが多いことから、その時代に重要な役割を果たした場所であることがわかりますが、歴史書によると、1521年のフェルナンド・マゼラン(Ferdinand Magellan)一行来島より以前、古代チャモロ社会でも島の中心地として栄えていたそうです。
ハガニアは古くは「ハガトナ」と呼ばれ、「ハガ(Haga)」はチャモロ語で「血」を意味します。多くのチャモロファミリーがこの地から誕生したことからそう呼ばれるようになったとか。
今回紹介するのはハガニアの高台にあるアプガン砦。英語ではフォート・サンタ・アグエダ(Fort Santa Agueda)と記され、1800年、砦を築いたスペイン総督マニュエル・ムロが、妻の名前、ドナ・アグエダ・デル・カミーノから取って付けたそうです。
緑の芝生に囲まれた遊歩道の向こうに見えるのはハガニア湾(Agana Bay)。
どこに何が見えるのか、日本語付きの解説地図を見ながら、眼下に広がる景色を楽しむことができます。
遠浅のエメラルドグリーンの海とドロップオフの濃紺の海、その境に見える白いラインがリーフエッジの白波。弧を描く湾の形もはっきり見ることができます。
コンクリートの階段を登ってさらに高い所から望む景色。ハガニアの街が一望できます。
しかし、栄える街を見下ろすこの高台は、敵の動きを監視する絶好の場所。1800年、スペイン総督マニュエル・ムロがシレリアという石を切り出してこの要塞を築き、大砲を備えました。
今ではすっかり老朽化し大砲に触れないよう囲いが作られていますが、こうやって見てみるとなかなかの迫力。
その後、アメリカ海軍の統治下においてもこの砦は通信拠点として使用され、旧日本軍の統治下では砲床を設置して使われていたアプガン砦。ここはどの時代にも常に重要な役割を果たしてきた場所なのです。
スペイン統治時代、アメリカ海軍時代、そして旧日本軍時代、それぞれの時代にここからはどんな景色が見えていたのでしょう。観光スポットとして多くの観光客が足を運ぶ場所ですが、この美しく平和な景色を眺めながら、戦争が繰り返された遠い昔に少しだけ思いを馳せてみてもいいかもしれません。