グアムの固有種が絶滅
グアムの鳥といえばココバード(Ko’Ko’ Bird)。グアムに生息する固有種で、絶滅の危機に瀕している鳥です。
第二次世界大戦後、外来種であるブラウンツリースネーク(Brown Tree Snake)がグアム島にやって来たことにより、飛ぶことができないココバードが餌食となり、急激に数を減らしていったと言われています。1983年から繁殖プログラムが実施され、現在は少しずつ数を増やしています。
しかし、その一方で今月初め、アメリカ合衆国魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)は、「グアム固有の2つの生物が絶滅したと思われる」という発表を行いました。そして今後、「絶滅危惧種リスト」からこの2種が外されることになります。
その2つの生物とは
・リトル マリアナ フルーツバット(Little Mariana fruit bat)
・グアム ブライドルド ホワイトアイ(Guam bridled white-eye bird)
です。
野生のリトル マリアナ フルーツバットが最後に目撃されたのは1968年。絶滅危惧種として認定されていましたが、十分な保護活動が行われないまま絶滅。その姿を消してしまいました。
リトル マリアナ フルーツバットより少し体の大きなマリアナ フルーツバット(Mariana fruit bat)、チャモロ語でファニヒ(Fanihi)と呼ばれるコウモリは現在も絶滅危惧種と認定されており、グアム、北マリアナ諸島で姿を確認されています。アメリカ合衆国魚類野生生物局、グアム農務省(Guam Department of Agriculture)などが保護活動を行っています。
チャモロ語で「ノッサ(nossa)」と呼ばれるグアム ブライドルド ホワイトアイ(Guam bridled white-eye bird)はブライドルド ホワイトアイの亜種で、グアムでのみ生息していましたが、1983年に目撃されたのを最後に絶滅したと思われます。
太平洋の島々には実に多様な生物が生息していますが、人間による森林開発によって生息地を奪われたり、外来種によって生態系を壊されたり、また地球の温暖化も原因となって、グアム固有種を含む多くの生物が絶滅。今回、発表された23の絶滅種の内、11種が太平洋の島々に生息していた生物です。
同時に、現在、太平洋地域において、絶滅危惧種として保護活動が行われている生物は578種以上にのぼります。
マリアナ フルーツバットはその昔、食用とされており、グアムの年配の方の話を聞いていると、「結婚する際、新婦宅へ豚やマリアナ フルーツバットを持参し結婚の許しを請いに行った」という話を聞くことがあります。このような話を聞いていると、固有種の絶滅はその土地や地域が長い歳月をかけて作り上げた社会や文化をも失うことを意味するような気がします。
この美しい自然と豊かな生態系、そしてチャモロの文化を後世まで残し伝え続けることは、現代を生きる私たちに課せられた使命である気がしてなりません。